林で書いた詩 伊藤整

風化のスプライト・ヴェルディア

そのスプライトの名はヴェルディア。かつては人間たちの信仰の中心にあり、森と花畑を守護していた。ヴェルディア姿は、昔は鮮やかな色彩に輝いていたが、今では長年の疎遠により、その姿は風化し、ぼろぼろになりさらに醜くなりましまった。しかし、彼女の目にはまだ希望の光が宿っている。

 幸せだった日々

昔、ヴェルディアは人々から深く信仰されていた。村の子供たちは、春になるとヴェルディアに捧げるための花冠を編み、大人たちは豊作を願ってヴェルディアに祈りを捧げた。ヴェルディアはその信仰と感謝の心から力を得て、村に豊かな実りと美しい花々をもたらしていた。

 忘れ去られた存在

しかし、時が経つにつれて、人々の生活は変わり、ヴェルディアへの信仰は次第に薄れていった。村人たちは新しい信仰や科学の進歩に夢中になり、ヴェルディアの存在を忘れてしまった。ヴェルディア衣は次第にくすみ、翼も破れていった。彼女の力は弱まり、花々は枯れ、森は荒れ果てた。

 再生の希望

それでもヴェルディアは絶望しなかった。彼女の心には、かつての美しい村と人々の笑顔の記憶が強く残っていたからだ。ヴェルディアはひたむきに、再び人々が彼女の存在に気づく日を待ち続けた。

ある日、村に老妖精ソリンが訪れた。ソリンは森の奥深くで見つけた古い伝説の書物を手にしていた。その書物にはヴェルディアの物語が描かれていた。ソリンは興味を抱き、森の中でヴェルディアを探し始めた。そしてついに、ぼろぼろになったヴェルディアを見つけた。

ソリンはヴェルディアを見て、かつての美しいスプライトの姿を想像し、彼女のために祈りを捧げた。ソリンの心からの祈りは、ヴェルディアに力を与え、その姿は少しずつ回復していった。ソリンは村に戻り、ヴェルディアの伝説を人々に伝えた。村人たちは再びヴェルディアに祈りを捧げ、感謝の気持ちを表すようになった。

新たな始まり

ヴェルディアの力は徐々に戻り始め、森は再び花々で満ち溢れた。村人たちはヴェルディアを中心に祭りを開き、信仰の心を取り戻した。ヴェルディアの衣は再び鮮やかに輝き、その翼も美しく修復された。彼女は再び、生命を育む存在として村と自然を守り続けた。