銅版画に憧れて


昔々、テレビ放送で「バラ色の人生」というドラマがあった。
河本一作(寺尾聰)は、版画家を目指して長野から上京、美術学校に通いながらアルバイトに勤しんでいる。今住んでいる古いアパートは、中学の同級生で一作よりひと足早く上京して働いている合川静江(仁科明子)の紹介だった。一方、一作の美術学校での親友・大友清太郎(森本レオ)は、とく子という女性と同棲しながら彼女に貢がせる日々。そんな清太郎がある日、一作に「女性を預かってくれないか」と頼んできた。翌日、その女性・さくら(香山美子)が一作の部屋にやってきた。一作は、彼女の美しさに心をときめかせるのだった…。

このドラマは私が、東京での浪人から地方の大学へ入学した頃の時期で、主人公が売れない美術家の卵で、ドラマの怪獣の原型作りのバイトをしながら、友人のプレス機を借りて小さな銅版画を制作していた演出が心に残った。私も東京で同じように美術大学受験浪人の生活をし、当時の成城学園近くにある円谷プロダクション工房で怪獣原型を制作するバイトをしていた。
そのドラマで始めて銅版画のことを知った。そして何時か銅版画をやってみたいと憧れていた。

テーマ曲 ジョルジュ・ムスタキの「私の孤独」はいまでも心に残る。この曲を聴くと銅版画を刷りたくなるのは、条件反射の原理か?

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