馬の頭部骨格
この数年来、動物骨格を時間のある時にボチボチ制作している。
馬もNSP粘土やモルフォ粘土で骨格や筋肉の研究に制作しては放置し、また制作することを延々と繰り返してきた。
どうしてもこれを制作したいという気持ちより、人体骨格から筋肉その先に動物へ更に幻想動物等まで進めればと思い学習のために制作していた。
が!「物語の海へ」を考えるようになって、俄然学習・研究より面白さへの気持ちが傾いてきている。最近は博物誌関係の図鑑を夜な夜な読み漁り少々睡眠不足になっている始末である。
こんなに動植物への興味は普通は子供の頃に体験するはずであるのだが、遅まきながら今頃興味が湧いてきているしだいである。
幻獣事典等などに出てくる、ケンタウロスは初めて人が馬に乗った姿を古代人が見た時、馬と人間を別々に分けて認識できなかった可能性があったと博物誌の中で書いてあった。
また、ボルヘスの文章の中にスペイン人が1518年頃マヤ文明に攻め入った時、原住民たちはやはり馬と人を別々に認識できず、人が馬から落ちた時、幻獣の体が二つに千切れたと思い慌てて逃げたとスペイン側の書記は記録していると記述していた。
神話の生き物だったと思っていたケンタウロスも人間の脳と視覚の不可思議さが、生み出した産物と考えると今我々の現実は一体何だろうかとふと思ってしまう。
馬と人の歴史は古く。5000年以上も前から人が馬をコントロールするための頬当てがあったと考えられており、3500年前にはすでに金属性のハミ(轡)が使用されていたという。
その発祥はメソポタミアとも古代オリエントともいわれ、ハミ(轡)によって家畜化された馬は、その後の人類の戦いの歴史と開拓によって世界中に広まっていった。日本には4世紀末に輸入されたらしい。
馬の頭部骨格を制作していて改めて解ったことは、馬をコントロールするハミ(轡)は馬の前歯と奥歯の間にある歯のない部分「歯槽間縁(しそうかんえん)」に収まるように頭絡の長さを調整し口にくわえさせ馬をコントロールした。これ以降馬は人間に最も役に立つ動物になった。
馬は時速70キロ以上のスピードも出せる構造なっている。ひと掛けで約8メートルの間ほんの一度、足を地につけるだけである。産業革命が起こるままで、人類の大切な生活を担ってきた生き物である。
ほんのつい最近まで、馬と人間は共に生きていた。しかし、現在私たちは生きた馬を見たのは何時の時だったのか?
5000年以上前から、共に共存した馬も、ケンタウロスも近代化の波で同じ幻想の生き物になってきている。
などと、神話と記憶の馬を想像し60センチ以上ある原寸代の頭部骨格をボチボチ作っている。
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