林で書いた詩 伊藤整

 黄昏の森の奥深く、古木を通り抜ける月明かりが囁く場所で天上の交響曲のような魔法の旋律が空気を満たしている。

今宵は「グランド・ブルーム」と呼ばれる珍しい出来事が起こる夜、100年に一度だけスターベルの花がその花弁を夜空に開き、星々に匹敵する光で煌めくとき。

これらはフロリシンフォニスト、自然の調和の守護者たちで、黄昏色の糸のように細やかなガウンを身に纏い、元素から贈られた楽器を奏でている妖精たちだ。

夜空のように暗い髪のリリカは、銀色のトランペットを吹き、そのメロディは木々を通る風のように上昇する。

太陽のように日焼けしたアエリアは、彼女のバイオリンを愛おしいそうに奏で、各音符は彼女の足元で咲く花のように開花する。一番若いセラフィナは、春の水の清らかさを反映する瞳を持ち、フルートで遊ぶように演奏し、その曲は小川のせせらぎのように陽気だ。

そして、優しい微笑みを浮かべるメロディアは、夢を織りなすようにハーブを魅了する。

一緒に、彼女たちは柔らかい苔と蔦の上で踊り、裸足がほとんど地面に触れる事なく、彼女たちの笑い声は周りのクリスタルの花々と同じくらい澄んでいる。彼女たちの音楽はスターベルを目覚めさせる呼び名声であり、花々が開いてものを幻想的な光で浸すように促すものだ。この光景に偶然でくわたした幸福な人々には、花々からの知恵の囁き、妖精たちからの平和の旋律、そして心に永遠に生きる不思議な夜が与えられると言われている。夜明けと共に、妖精たちは彼女たちが現れたのと同じく静かに消え去り、夜の魔法を思い出させる輝くスターベルを残していく。グランド＿ブルームは終わりを告げるが、その伝説は森が眠りにつく子守唄のように、静かに囁き続ける。