失われた古代 ピラネージ幻想
遠い昔に読んだプルーストの「失われた時を求めて」!
このロマンチックな題名の持つイメージを素材に長年温めて来た古代への憧憬を銅版画で制作したいと願望していた。
最近になってやっと制作出来る精神状態と物理的条件に満たされ、遅蒔きながら始めている。
30年以上も前に観たピラネージの版画展「牢獄シリーズ」は圧巻であった。
卓越した写実力で、古代ローマの遺跡を版画にした。ピラネージが「牢獄シリーズ」と題して幻想の世界を制作したのは何処か心惹かれるモノがある。
長い間、物置にしまい込んだ本のように、虫干しの日に突然現れた物語を読むように時間を飛び越えて自分の裡に入ってくる。人の脳は不思議だ!
失われた時を求めての主人公が、マドレーヌを紅茶に浸し口に含んだ時に蘇る無意識の記憶の旅、そんな諸々の記憶を、心の中で遊びながら制作できれば、幸せだと思う。
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